今回のレビューはイギリスのプログレ・バンド Big Big Train が7月にリリースしたライブアルバム "Merchants of Light" です。
BBTの3作目のライブアルバム
1作目は2016年リリースの、イギリス Real World Studios でのスタジオ・ライブ盤 "From Stone and Steel" で、これは先にリリースされたブルーレイ作品のオーディオ版になります。
2作目は同じく2016年にリリースされたイギリス Kings Place でのライブ音源 "A Stone's Throw from the Line"
そして今作はロンドン Cadogan Hall で2017年9/29~10/1の3日間行われたライブの模様を収録。
実は12月に映像版のブルーレイがリリース予定で、本来ならそちらのレビューを書きたい所なのですが、音源を聴いただけで予想以上の素晴らしい内容でテンション上がったもんで、ライブ映像の模様を妄想(笑)しつつ、レビューを綴ってみたいと思います。
セットリスト
こちらは初日のセットリストですが、3日間とも同じ内容だったようです。
アルバム "Folklore (2016)" と "Grimspound (2017)" からの曲が大半を占めていますが、最新作の "The Second Brightest Star (2017)" からのチョイスはなし。
サプライズ的なリリースだったあのアルバムは他の作品と違い少々特殊な部分があって、前2作から漏れてしまった曲の補完的な意味合いもありましたからね。
まあ今後のライブで演られる可能性は無くはないですが。
アルバムには何日目の音源が収められたのかは不明ですが、アンコールも含め全曲収録されています。
バンドメンバー
- Nick D'Virgilio: drums, vocals
- Dave Gregory: electric guitar
- Rachel Hall: violin, vocals
- David Longdon: lead vocals, flute, percussions
- Danny Manners: keyboards
- Andy Poole: keyboards, acoustic guitar
- Rikard Sjöblom: guitars, keyboards, vocals
- Greg Spawton: bass, bass pedals, vocals
Big Big Train Brass Band
- Dave Desmond: trombone
- John Storey: euphonium
- Jon "Wreck-It" Truscott: tuba
- Nick Stones: french horn
- Ben Godfrey: trumpet
レビュー
曲タイトルをクリックすると、プレイヤーの動画が切り替わり再生が始まります。
- Folklore Overture
- Folklore
- Brave Captain
- Last Train
- London Plane
- Meadowland
- A Mead Hall in Winter
- Experimental Gentlemen Part Two
- Swan Hunter
- Judas Unrepentant
- The Transit of Venus Across the Sun
- East Coast Racer
- Telling the Bees
- Victorian Brickwork
- Drums and Brass
- Wassail
まずはレイチェルさんを中心としたストリングスによる序曲で幕を開けます。
前回の Kings Place ではボーカルのデビッドさんの "Ready?" の掛け声とともに、ストレートなロックナンバー "Make Some Noise" で最初からハイテンションで始まったのとは対象的に、今回は非常に厳かなプログレ然とした雰囲気を醸し出しています。
序曲からそのままアルバム"Folklore" の冒頭を飾ったタイトル曲のイントロへと繋がり、会場も一気に盛り上がります。
原曲では「鼻笑い」程度だったラストのデビッドさんの笑い声が、本ライブでは派手な「高笑い」になってます(笑)
これは先日のドイツでのライブ(Night of the Prog 2018)映像です。
デビッドさん、ここでは笑ってないですね(笑)
続いてはアルバム "Grimspound" の1曲目のナンバー。
こちらの映像も Night of the Prog より。中盤でのデビッドさんがゴーグルや無線マイク等を使ったシアトリカルな演出がとても印象的で、本ライブのブルーレイを見るのが楽しみです。
少し前の2009年のアルバム "The Underfall Yard" からの曲。
実は私はこの曲の印象は薄く然程評価はしていなくて、セットリストに入れられたのがとても意外に思ったのですが、今までとは違う流れで改めて聴いてみると、まったく印象も変わるもんなんだなあと感じました。
"Folklore" より、スローなナンバーかと思いきや、間奏で一転、アップテンポな変拍子パートが挟まる目まぐるしい展開がまさにプログレな曲。意外とライブ向きな曲かもしれませんね。
"Grimspound" より、三拍子のバラードナンバー。原曲ではリズム隊のパートはありませんが、ライブではドラムスのニックさんもベースのグレッグさんも演奏に加わっています。
この映像は Real World でのスタジオセッションです。
"Grimspound" からのドラマチックな展開の15分超の大曲。
中盤の数小節ながらニックさんのソロ・ボーカルが初めてフィーチャーされた曲で、本ライブでもドラムをプレイしながらの歌声を聴くことが出来ます。
そしてこの曲で前半が終了 (CDもここまでがDisc 1)。デビッドさんのいかにもイギリス人らしい "Tea Time!" の掛け声と共に休憩に入ります。
"Grimspound" より、Part 1~3まである組曲のメインパート。是非フルパートで聴いてみたかったです。
原曲ではデビッドさんの声のみでディレイが掛けられたラストの "the wonder of it all~♪" の所は、ライブではニックさん、リカルドさん、レイチェルさんが順に歌っているようです。女声コーラスが混ざっても違和感ないですね。
2013年のアルバム "English Electric Part 2" からのしっとりとした雰囲気のスローナンバー。
この曲は7月に、別バージョンや本ライブ音源を収録したシングルがリリースされました。
また本ライブの中で唯一公式ライブ映像が公開されています。
最後にダニーさんの傍に歩み寄り、肩に手を置くデビッドさん。そしてお互い見つめ合って微笑む二人。微笑ましいですね(^^)
"English Electric Part 1" より、アップテンポな変拍子ナンバー。バラードの後ということで、やはりこういう軽快な感じの曲が来ますね。
"Forklore" より、やや落ち着いた感じの曲です。
ライブ前の公式リハーサル映像 (@Real World) が公開されています。
"English Electric Part 2" より、BBTの1番の人気曲と言って過言でない曲。
前回の Kings Place では(アンコール前の)ラストに演奏されました。
ドラマチックな展開が何度聴いても鳥肌モノです。
こちらは前回の Kings Place でのライブ映像。
一転、ちょっとほんわかした感じ?のデビッドさん作詞作曲のポップナンバーでクールダウン。
"The Underfall Yard" からのドラマチックなナンバー。終盤でフィーチャーされているブラス・セクションが印象的です。
さて、ここで一旦ライブは終了。アンコールへと続きます。
アンコール初っ端はまずニックさんのドラムソロ。フリーなソロではなく、次曲の "Wassail" のリズムに乗せた演奏となっています。
続いてはニックさんが BBT Brass Band のメンバーを紹介するというユニークな演出。そして ラストの "Wassail" のイントロへと繋がります。
2015年にリリースされたシングル曲。
デビッドさんがインパクトのあるデザインの "Green Man" のマスクを着けてシアトリカルに歌う様子はピーター・ガブリエルを彷彿とさせますね。
終盤には観客との掛け合いもあり盛り上がり、まさにライブのラストを飾るのに相応しい曲だと思います。
動画はNight of the Prog 2018 より。ドラムソロの途中からブラスバンドのメンバー紹介~Wassail~メンバーの挨拶まで収められています。
最後に
メンバー8名+ブラスセクション5名、総勢13名のBig Bigな大所帯でほぼ完璧にアルバム音源を再現したライブ。
音だけでも大興奮のヘビロテ状態ですからね。ブルーレイで映像を見るのがほんと楽しみです♪
そして・・・これがBBTオリジナルメンバーの一人、アンディー・プールさんが参加する最後のライブということもあり、ちょっと感慨深い気持ちもあったりします。(Night of the Prog 2018 には Cosmograf の Robin Armstrong がサポート参加しています)
というわけで、このメンバーでの演奏を耳や目にしっかりと焼き付けておかねばですね。
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